IDPA Japan Design Award

Mont-Blanc Temporary store

by 金子有太

Project Description

日本における”ケーキのモンブラン”を生み出した老舗洋菓子店(今年90周年を迎える)の一時移転仮店舗です。
画伯”東郷青児”の店内画や包装紙もすでに東京自由が丘文化の一つとなっています。
ただ原画を飾るだけの空間ではなく、画伯への最大のオマージュとして、訪れた人々が”絵の世界観に身を投じながらお菓子を買える体験”ができる幻想空間を表現しました。
生地を使ったサステナブルデザインで、将来的な撤去や交換も省力化されます。
デザインのポイント
1.仮店舗として”壊すことが決まっている”という制約内で装飾性・透過性・更新性を兼ね備えた”生地”を駆使している。
2.テキスタイルの使い手ISAKU DESIGNとともに壁三面を2層の透過布で構成し、層間をライティングすることで壁全体が行灯となる。反復するアーチパタンの中に絵画が幻想的に浮かび上がると同時に、画伯の絵の特徴である色のグラデーションとオブジェクトがレイヤ状に重なる”絵画世界そのものを空間として体現”した。
これらはデジタル機械によって成せるもので、ポリエステルのオーガンジーに微妙な透過性とトーンの変化をつけた印刷が施されている。
普段肌に触れているテキスタイルの視覚的な柔らかさをデザインに取り入れながら、洋服を着替えるかのごとく、時代の変化にも追従していける期待感がある。
3.生地を使ったサステナブルデザインで環境負荷の低減に寄与しながらも、再び自由が丘の文化発信拠点を担う付加価値も継承する。
延床面積:185.35㎡(売場86.6㎡) / 主構造:RC造(既存建物) / 主な内装壁化粧材を透過性テキスタイルで構成
FRAME+ISAKUDESIGN

金子有太

2002 年、日本大学理工学部建築学科卒
2005 年、株式会社フレイム入社
2004 年~
地震国日本における建物の耐震化に向けた多様な不安・疑問に分かり易い言葉で解説するなど、講師および相談員を経験した。
[行政の防災まちづくり]の技術普及に協力した。
2007 年、「世田谷観音に移築された築 400 年の旧小田原代官屋敷」を現代寺子屋として再生・活用整備した。
以降、[住民主体のまちづくり]も継続中。
これらで培った[合意形成の手法]を活かし、デザインや意見をわかりやすく依頼者と共有することを大切にし、住宅デザインだけではなく、商業・福祉の空間デザインにも取り組んでいます。
私は”暮らすためのデザイン”や、”持続性の高いデザイン”を多く手掛けています。
デザインすることにおいて、
「住宅と商業施設」「建築とインテリア」といった垣根がなくなり、融合が求められていることを実感しています。
住宅のような必然的普遍的な「形」と、商業空間のような瞬間を楽しむ「形」
住宅のようなノスタルジックな「空間」と、商業空間のような未来が感じられる「空間」
住宅のようなパーソナルな「デザイン」と、商業空間のようなポピュリズムな「デザイン」
それらの「ハイブリット化」をテーマにデザインをしています。
近年私は中国のチームと協働し、中国の安徽省、上海、杭州などの一般住民の”住宅プロジェクト”や”歯科クリニックのプロジェクト”も挑戦しています。

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